読みもの 当たるのか

インド占星術は当たるのか。
当たった気がすることと、当たっていることを分ける

「当たる」と検索する人は、当たってほしいのか、当たらないでほしいのか、自分でも決めかねているのではないか。私はそう想像しています。

私は、インド占星術で鑑定書をつくっている側の人間です。だからこそ、先に答えを書きます。
当たると言える根拠は、調べた研究でも確認されていません。ただし、読んで「役に立った」と感じる人がいることは、別の事実として実在します。

この2つが両立する仕組みを、実際に調べた研究と、「当たった気がする」しくみの実験から書きます。

1実際に調べた人がいる

インド占星術を対象にした検証は、インドの科学者が行っています。

2009年、天体物理学者のジャヤント・ナルリカールらが、学術誌『Current Science』に検定の結果を報告しました。学業が優秀な生徒100人と、知的障害のある生徒100人の出生データを用意し、公募で集まった占星術師に、1人あたり40例を渡して、どちらのグループの出生図かを判定させました。

偶然に当てた場合の期待値は、40問中20問です。研究者が事前に置いた基準(99%の水準)は、28問以上でした。

17.25

占星術師の平均正解数(40問中)。
最高でも24問で、基準の28問に届いた人はいませんでした。

この課題では、占星術師の答えに、偶然を超える方向性のある情報は観測されませんでした。

ただし、この結果を「占星術がすべて否定された」と読むのは行き過ぎです。正しくは、「知的能力の高低を出生図から判別する」という1つの課題で、参加した占星術師が、事前に決めた基準を満たせなかったということです。ほかの主張は検定していませんし、参加者は公募で、代表性は保証されません。

ほかにも、1985年に学術誌『Nature』に載った二重盲検の研究があり、その後、統計処理をめぐる論争が続いています。批判する側の再分析も、占星術が検証された、とは言っていません。

2それなのに、なぜ「当たっている」と感じるのか

1949年に、心理学者のフォアラーが、学生39人に性格診断をしました。学生に渡した結果は、全員に同じ1枚の文章でした。占星術の本などから集めた、誰にでも当てはまりそうな文です。

4.26

学生が「自分に当てはまる」と付けた点数の平均(5点満点)。
2点未満を付けた人は、1人もいませんでした。

全員に同じ文を渡しても、「自分に当てはまる」という評価は高く出た。これが、バーナム効果(フォアラー効果)と呼ばれるものです。

この評価を強めやすい条件として、次のことが指摘されています。

  • 文章が曖昧で、広い範囲の人に当てはまること
  • 内容が、肯定的であること
  • 渡す人が、権威のある人だと思われていること
  • 本人が、「自分のために作られた」と信じていること

これは、だまされやすい人の話ではありません。人間の読み方には、そういう傾向があるという話です。占星術の鑑定は、古典、サンスクリット、天文計算と、権威の条件も、自分のために作られたという条件も、そろいやすい形をしています。

3満足度と的中率は、別の量

フォアラーの4.26という数字は、満足度としては、とても高い数字です。同じ紙を誰が読んでも、個人向けに作られたという文脈があれば、深く納得できる。この現象は、実在します。

でも、納得したことは、合っていることの証拠になりません。ここを分けないと、「読んで納得した」が、そのまま「当たっている」に化けます。

満足度は実在します。的中を支持する検証結果は、確認されていません。
この2つを、同じ文で語らないと決めています。

これは、占星術を否定するための整理ではありません。占いを使うかどうかを、自分で選べるようにするための整理です。

4自分で確かめる、3つの方法

1. 読む前に、「当たった」と認める基準を書く。

基準がないまま読むと、何が起きても「当たった」に入れられます。「来年の春までに、職場の環境が変わる」のように、日付と出来事が具体的に書かれているものだけを、判定の対象にします。

2. 日付・期間・星の名前がある部分だけ、確かめる。

「土星がいつからいつまで、この星座にいる」は、計算の条件(アヤナーンシャなど)をそろえて計算し直せば、確かめられます。「だから大変になる」は確かめられません。分け方は、言われたことの確かめ方に書きました。

3. 同じ文を、別の人に読んでもらう。

鑑定書の性格の段落を、数人の家族や友人に、「あなた向けに作った文です」と伝えて読んでもらい、「当てはまるか」を5点満点で付けてもらいます。自分が付けた点との差が1点以内なら、その文は、誰にでも当てはまる文の可能性が高くなります。鑑定書の内容を見せる範囲は、ご自身で決めてください。

5それでも、使う理由はあるのか

占いを使う人の動機を調べた研究では、不確実なときの安心、自分について語る言葉、決める前の材料、といった役割が挙げられています。「当てる」ことより、迷いを整理する道具として使われている面が大きい、ということです。

ここから先は、私の見方です。使う価値があるとしたら、自分を別の角度から見るための材料としてだと思います。決めてもらうために使うと、結果が違ったときに、別の占い師を探し続ける人もいるかもしれません。決めるのは、あくまで本人です。

ですので、私が鑑定でしていることは、次のとおりです。

  • 計算の条件を、全部書く
  • 主要な判断ごとに、支持する事実と、反する材料と、確信度を表にして渡す
  • 未来の出来事を、断定しない
  • 医療・投資・法律の判断には使わない

詳しくは計算と方針に書いています。

6今日できる一つ

これまでに占いで言われて「当たった」と思ったことを、1つだけ、そのまま書き出してみてください。

そして、その文の中に、日付・期間・星の名前のどれかが入っているかを、探してみてください。入っていなければ、その「当たった」は、確かめようのない「当たった気がする」かもしれません。それが悪いことだ、と言っているのではありません。区別できるようになると、次に「当たった」と思ったとき、確かめる手がかりを持っていられます。